2011年6月1日水曜日

ツールド熊野2011 :抗いというムード

あなたがもし、ロードレースを実際に見た事がないのなら、

きっとその「音」に驚く事でしょう。

テレビではほとんど聞こえないその音。




・激しくあえぐ呼吸音

・ブレーキのスキール音

・ギアチェンジのメカニカル音

・激しく波打つチェーンの音

・怒号

・叫び

・チームカーのタイヤのきしみ





様々な音が濁流のように押し寄せてきて、圧倒されます。

そしてたぶん気づくと思います。

むき出しの人間の戦いに。

彼/彼女らは、目をむき、激しく顔をゆがめ、よだれを垂らし、そして全身泥にまみれ、ボロボロになりながら、それでも前に進む。

それは決して区画化され、文明化された「スポーツ」ではない。

おそろしく原始的で、闘争的。実際に見ると、むしろボクシングに近い。

彼/彼女らは、自分と違う超人ではないとあなたは気づくはず。

超人ではなく、生身の人間で、
多くを捨て、「勝利する」という目的の為に鍛え上げられた日本刀の切っ先なんです。

その切っ先は、そこまでむき出しでありつつも、ソリッドであるが故に美しい。

よく、

「ファインダーでしかレースを見ないなんてもったいないですね」

と言われます。


でも、200mmのレンズで、数メートルの距離に見る彼らの表情は、おそらく肉眼では捕らえる事は出来ない。

ファインダーを通じて、その位置にいる僕だからこそ見える世界です。

シャッターを切る時、ほとんど自我はなく、
環境と一体になり、水のように撮影しているけど、1/1000秒の瞬間は、ファインダーを通じて鮮明に焼き付く。


「抗う」って、格好悪くて、世間からもあまり受け入れられない。

やっぱり、あきらめて、同調して、調和している方が楽だし、楽しい。

でも、レースを撮影するようになってから、あきらめる、という事は出来なくなりました。

たぶん、彼/彼女らの「その瞬間」を見ているからです。

抗う事は格好悪い。でも、大切に思う事は、抗わないと出来ない。

初めてレースを見るあなたは、そこで何を感じるんだろう?




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