2011年3月16日水曜日

WE WILL ROCK YOU


おまえは路地で騒いでいるただのガキ。いつかビックになりたいと
泥にまみれた顔
なんて恥さらし
ダラダラとさまよいながら
歌ってる

オマエヲ オマエタチヲ タタキツブス
オマエヲ オマエタチヲ ブットバス

おまえは気むずかしいただのガキ。いつか世界を手に入れたいと。
血にまみれた顔
なんて面汚し
世界中でお前の旗を振り回し
歌ってる

オマエヲ オマエタチヲ タタキツブス
オマエヲ オマエタチヲ ミカエシテヤル

おまえは哀れな老人
いつか心穏やかな場所を手に入れたいと訴える
泥のついた顔で
なんて恥辱
いつか元の場所にスゴスゴと戻るだけ

オマエヲ オマエタチヲ タタキツブス
オマエヲ オマエタチヲ ROCKシテヤル






from 11-March-2011


WE ARE STANDING ON HERE.

2011年3月5日土曜日

Eyes of Hyper Chevalier(強者の眼)

アスリートの眼。

トップレベルのアスリートを間近に見たり、会話したり出来るのは、ロードレースの素晴らしいところです。

他の競技と比較出来ないので、あくまで私見ですが、

「トップレベルのコンディションにあるアスリートは、あきらかに眼光が違う」

と思っています。


全体に漂うオーラ、とも言えるのですが、一番端的なのは眼だと思います。


愛三レーシングチームのパーティーで見た綾部選手。


If You Love Somebody, SET THEM FREE.



風邪で随分体調が悪かったそうですが、ランカウイでの成績からか、視線を中心に、張り詰めるエネルギーを感じました。

そういう時のオーラはなんなんでしょうね。

単にワイルドな獣の目だけではない。
理性によりコントロールされた野生。
そして結果からくる自信。

共通しているのは、視線に動きが少ない、という事かもしれません。

視界内のオブジェクトを探るのではなく、視界に入れるべきオブジェクトが分かっているかのような視線。


理性と野生のバランスが一番取れた瞬間にだけ出せる眼光なのかもしれません。




YUSUKE HATANAKA [Man In The Mirror]


CRISTIANO SALERNO : etouffer

KEIICHI TSUJIURA :Eye

SHINICHI FUKUSHIMA :le visage

2011年3月2日水曜日

Digitalized Analogous Mind(デジタルとアナログ -st1)

僕が写真を始めたのは2008年からなので、デジタルカメラが最初のカメラです。

ベースがデジタルなので、フィルムのアナログカメラというのが、どういうものか良く分かっていませんでした。

比較的最近(15年前ぐらい)のアナログカメラは、露出計があり、自動露出(Auto-Exposure)があり、操作感として、デジタルとあまり変わらない印象なのですが、それ以前の電池を必要としない、完全手動のカメラは、まったく未知の世界でした。

知人にアナログカメラを好む人が数人いて(なぜか皆女性)、

「なぜアナログカメラなんですか?」

と聞いてみたのですが、なかなか納得のいく回答は得られませんでした。


そんな訳で、僕の中でアナログカメラのイメージは

「不便さを楽しむコスプレ」

という、甚だ失礼なものでしたw

現代社会で、パリに行くのに、飛行機ではく、船旅を選択するような遊びだと思っていました。



そんな僕が感じたアナログとデジタルのカメラの話です。
おそらく数回続きます。



昨年の年の瀬、会社の近くにある、アンティークカメラショップになんとなく寄ってみました。
目的は、ライカがリリースした35mmサイズのCMOSセンサーを搭載したコンパクトカメラ、X1を見てみる為でした。


コンパクトカメラなのですが、値段は実売20万円とびっくりする程高価なカメラです。


ライカというメーカーは、僕のような詳しくない人間でもその名前を知っている、ある意味、カメラのアイコンのようなメーカーです。
時計でいえばロレックス、車ならメルセデスみたいなイメージですよね。


実際にX1を手に持って操作してみました。
操作系はとてもシンプル。
ホールドした感じもしっくりくるカメラでしたが、不思議な違和感がありました。

おそらく、描画性能はとても良いのだと思います。

僕が感じた違和感は、プロダクトとしての質感があまり高くない、というものでした。

写真で見た時には、とても惹かれるデザインだと思ったのですが、微妙なラインの処理や、正面の仕上げに違和感があり、それがとてもノイズに感じるのです。

正直、PEN EP-1の方が持った時の存在感があるように感じます。


今までカメラは道具と割り切っていて、デザインや値段を意識した事は全然ないので、この感想はとても意外でした。


僕のその気持ちを感じとったのか、店員さんがショーウィンドウから取り出したのが、ライカM6でした。

M6


有名なM型ライカの1984年に発表されたモデル。
基本機械式駆動ですが、TTL露出計を内蔵し、露出計を駆動する為に、ボタン電池を使います。(電池は露出計用なので、カメラ自体は電池なしでも動きます。次のM7から電子シャッターになり、電池が必須になりました。)


店員さんに手渡されて持って見ると、びっくりするほど重い。
重量は560g。

店員さんは元々アンティークカメラが本業なので、次々に熱い解説を始めます。

・ボディーは真鍮の削り出しなので、とても重量があり堅牢。M3の時代の1950年代から、ずっと現役で使われている。

・フィルム室の蓋(底部)には、遮光用のウレタンもゴムも一切使われていない。
 金属の削りだしの精度のみで、寸分違わず合わせられていて、光を通さない。
 なぜゴムやウレタンを使わないのか?
 それは消耗品だから。
 当時のライカの哲学が、時代を超えて稼働出来るカメラの開発だったため。
 消耗品があるという事は、製品の寿命を縮めるから。

・装着したレンズの種類に応じて、ファインダーフレームが自動セットされる。
・フィルム巻き取り時にリリースボタンを押し下げると、連動して、フィルムスプロケットが開放される。これらは全て電池を使わない機械式連動(カムやクランク連動)で制御される。

・ライカはフィルムノブ(フィルムを巻き取るレバー)と、シャッターが同軸である。
(構造的には、それぞれを別の部品にした方が安価で確実なのだが、人間の動作では、シャッターと巻き取りが同軸である方が望ましく、あえて負荷のかかるこのシャフトに、二つの構造を持たせた。

・発売当時(1954年)の日本での価格は、車を超えて不動産に近いものだった。


店員さんが熱く語る物語は、とても詩的で楽しく、ついつい聞き入ってしまいました。

M3をリリースした当時のライカ(1954年)の企業姿勢は、現代では考えられないものです。


カメラメーカーというより、カメラ工房ですね。
考えられる最高の設計をし、最高の素材を使い、そして、それが永続的に使えるように設計し、最高の料金で販売する。

今ではフェラーリでも、こんな工房的な姿勢ではありません。

僕は、マスプロダクツが悪いモノだとは思いません。

大量生産されるから、一般人でもカメラを買う事が出来、コンピュータを使う事が出来ます。
それによりもたらされた自由は広大です。

でも、マスプロダクツは、必要な性能に絞り、大量に生産する事でコストダウンを計り、広く流通させる事が目的です。

いつしか、世の中は、「安価である事」の重要性が「必要品質」を上回っているように思えます。

結果、とても安価だけど、必要を満足に満たせず、でも「安いからいいか」と放置される製品はとても多い。

捨てて、捨てて、回していく経済です。

機械は道具だけど、開発者に熱のある機械は、手に馴染んだり、なにか訴えかけるものがありあます。訴えるというより、挑んでくる熱のようなものが。





デジタルカメラを道具と割り切っていた理由の一つが、とても製品寿命が短いからです。
フィルムがセンサーに本格的に置き換わって、まだ10年程度しか経過していません。

デジタルカメラは進歩したとはいえ、まだ過渡期で手探りな状態です。
最高性能のプロ用35mmサイズ・デジタル一眼レフのボディは、100万円近い値段ですが、実用的に使えるのは5年程度です。

技術革新が早すぎて、カメラの根本性能自体が5年だと、大幅に書き換わるからです。

しかし、面白い事に、ライカのフィルムカメラは、1954年から現代まで、60年にわたり、根本性能に変化がありません。

進化が停止しているとも言えますし、60年前で完成の域に達していたとも言えます。

カメラを道具としてとらえる場合、安定した環境で作業出来る、というのはとても重要な事です。

デジタルの場合、ライフサイクルが短いので、新しいカメラになった場合、その環境に自分を適合させるのが、とても大変です。
(僕の3年という短いキャリアでも、1回乗り換えてます)

フィルムでは、新しい技術を追う必要がない為、技法が究極まで検証され、洗練されていて、創作以外の余計な事に神経を取られる必要がありません。

1954年のM3の設計者達の思惑通り、半世紀以上を経た2011年でも使われ続け、唯一の消耗品であるフィルムが生産され続ける限り、今後も使われ続けるでしょう。

「永遠に動作し続ける機械」

複雑な精度と、極限でも動作する堅牢性を併せ持つMシリーズは、設計者の狂気すら感じる、異様なこだわりを感じます。


M3が現役だというのは、ホビーの世界だけの話ではありません。

アフガニスタンの米軍に随行している日本人の従軍カメラマンも、デジタルの他に、M3を戦場で使っているそうです。

長時間に及ぶ行軍の際、バッテリーを充電できない事もあり、そういう時、デジタルカメラは使えません。

また、精密さ故、砂塵や、過酷な気象に弱くなっているデジタルカメラに比べ、M3は、電池を必要とせず、行軍の間、岩に当てても問題ないタフさがあります。

プロフォトグラファーの砂田弓弦さんに、昨年の全日本の時、少しお話を伺う事が出来ました。


Q
「砂田さんにとって、カメラに絶対必要な性能はなんですか?」

A
「動く事です。どのような条件下でも。
 画素は600万でもそれ以下でもいい。どんな過酷な条件でも安定して、「ただ動作する
 事」それが一番重要です。」



まさに、従軍カメラマンの方が、現代でもM3を使っている理由がそこです。

ファッションではなく、現代でも代替不能な揺るぎない性能。

「信頼性」(reliability)

があるからです。



デジタルとアナログの定義から離れてしまいましたが、初回はライカの話でした。

ちなみに、店員さんが熱く語ったM6は、その後購入し、このオフシーズンはフィルムで撮影しています。

次回は、「デジタルとアナログの解体」の予定です。