2011年2月14日月曜日

Talkin' with KANAKO NISHI (vol.1)

KANAKO NISHI : The Empress of Flame


日時:12-Feb-2011(sat)
場所:品川/東京

■レース中に考える事



Q
西さんに僕が撮影した写真を始めてお見せした時、

「その時に考えていた事を、ありありと思い出した」

とおっしゃっていました。

レース中にはどんな事を考えているのでしょう?
それとも無心の状態なのでしょうか?


結構色々考えているんですよ。
雑多な、くだらないような事を(笑)


例えばどのような事でしょう?


他の選手の自転車のフレームやパーツを見て、
「あぁ、こういうの使ってるんだ」
とか、
路肩に蛇がいるとか、虫がいたとか(笑)
結構雑多です。


F1のドライバーは、ライン上のクラック一つを識別する、と聞いた事があります。
それと同じような感覚でしょうか?
ポイントとなるモノが、フォーカスされて、大きく目に飛び込んでくるような。


そうですね。そうともいえます。
このヒビ割れに乗りたくないとか、別のラインがいいとか。
日本では、だいたい同じコースを毎年使うので、かなり細かいポイントまで覚えてしまうんですよ。


面白いですね。
極小のクラックがフォーカスされるんだけど、意識は様々な方向へ開放されていて、他の選手の機材や、ウェアみたいなものまで拾っているんですね。
アンテナを全体に広げていて、時々ひっかかるポイントが、ぐっと引き寄せられるような感じなんですね。


でも、一度アタックすると、急に視界が狭くなるような感じで、その事だけに集中します。
そういう状態に入る、とも言えるかもしれません。


なるほど、とても興味深いです。
雑多と仰っていたアタック以外のシチュエーションの、意識が開放された状態。
これも、決して散漫になっている訳ではなく、格闘技でいう間合いの状態なんですね。
状況を制御するのではなく、水のように様々な状況に瞬時に対応できる
「力の抜けた」
状態を作っていらっしゃるのかもしれません。
逆に、アタック時では、意識の範囲をもっと狭め、そこに必要な情報のみにフォーカスする。
確か、禅も、そういう状態の繰り返しと聞いた事があります。


そうですね。
雑多な事であっても、やはりレースに関した事だけ考えているので、その範囲はレースからは離れていないんですよ。


(続く)Vol.2